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今日もどこかで空想中。小説と戯れ言の居場所。


by plasebo55
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中の戯れ言

 俺を助けてくれたのは、女だった。

 俺が斬りつけても突き刺しても全く手応えの無かったゴーストを、その一太刀で二つに引き裂き、返す刀で真一文字に薙ぐ。

「浄化なさい。あなたはこの世界に来てはダメです」

 左手でもう一本、刀を抜く。とん、と軽い踏み込みの後、その銀色の刀身が、ゴーストに突き刺さった。
 ごう、と嵐のような音。ゴーストの悲鳴だと気づいた頃には、もうゴーストは消え去っていた。

 ふう、と息を吐くと女は刀を収めた。金色の長髪、ふわふわのワンピース姿はまるで、良いところの少々おてんばな末娘といった感じだろうか。とても、冒険を生業とするものには見えない。

「大丈夫ですか?」

 振り返ると、小首を傾げて訪ねてくる。髪に飾られているのは真っ青な薔薇。それで、ようやく気づく。

「この辺はゴーストが多いですから、夜の旅は危険ですよ」

 忍び寄る悪夢。

 彼女こそが、そのふたつ名で呼ばれる冒険者だ。青い薔薇の髪飾りをつけて、退治するゴーストたちよりも静かで確かな恐怖を与える女。

「え、あたしの顔になにかついてます?」

 あ、と言いかけて口をつぐむと、彼女はふたつ名にふさわしくないあわてっぷりで頬を押さえた。
by plasebo55 | 2009-06-26 23:39 | 戯れ言