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今日もどこかで空想中。小説と戯れ言の居場所。


by plasebo55
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側面

 結局。

「彼女をわかってやることなど、俺には無理だ」

 彼女は行動に統一性がなさすぎる。
 彼女は発言が気まますぎる。
 彼女は思考に感情が干渉しなさすぎる。

 けれど彼女は自由とは違う。けっして。

 ならばなぜ、あれだけ奔放に振る舞えるのだろう?

「明日は快晴ですか」

 テーブルに尻を載せていたジャックが、窓の外へ向けていた視線を冬司に戻した。予想していなかったものでも見るような表情で、冬司を見ている。

「いや、知らないが」

 そんなジャックを見ることこそ意外で、冬司は思わず答えたあと、窓の外へと視線を向ける。外は相変わらずの雪模様だ。夜には吹雪に変わるかもしれない。

 目を細めた冬司の耳に、はじけるような笑い声が飛び込んだ。驚いて振り返る。

「冗談やろ?」

 手をひらひらとさせながら、ジャック。

「アンタがそんな自信なさげなこというから」

「理解できない、と言っただけだ」

 笑いを収めない男に少々憮然とした表情になって言うと、そうでしたね、などとまた手を振りながらジャック。

「人なんて、理解してやることなんてできないんとちゃいますか? 冬司はんの言うような、理解は」

 冬司が鼻白む。だったらどうすればいいのか、などとは口が裂けても聞けないで、その分唇を強く引き結ぶ。そんな冬司を横目に、ジャックは笑みをやんわりとしたものにして、視線を落とした。

「彼女の事は、想ってやったらええやないですか。いっつもそばにおる、自分らだからできる方法で」

 守ってやるのだ、と。

 ジャックが顔を上げる。
 微笑んだまま冬司と視線を合わせて、彼はゆっくりと頷いた。
by plasebo55 | 2005-02-13 22:10 | オリジナル小説