側面
2005年 02月 13日
結局。
「彼女をわかってやることなど、俺には無理だ」
彼女は行動に統一性がなさすぎる。
彼女は発言が気まますぎる。
彼女は思考に感情が干渉しなさすぎる。
けれど彼女は自由とは違う。けっして。
ならばなぜ、あれだけ奔放に振る舞えるのだろう?
「明日は快晴ですか」
テーブルに尻を載せていたジャックが、窓の外へ向けていた視線を冬司に戻した。予想していなかったものでも見るような表情で、冬司を見ている。
「いや、知らないが」
そんなジャックを見ることこそ意外で、冬司は思わず答えたあと、窓の外へと視線を向ける。外は相変わらずの雪模様だ。夜には吹雪に変わるかもしれない。
目を細めた冬司の耳に、はじけるような笑い声が飛び込んだ。驚いて振り返る。
「冗談やろ?」
手をひらひらとさせながら、ジャック。
「アンタがそんな自信なさげなこというから」
「理解できない、と言っただけだ」
笑いを収めない男に少々憮然とした表情になって言うと、そうでしたね、などとまた手を振りながらジャック。
「人なんて、理解してやることなんてできないんとちゃいますか? 冬司はんの言うような、理解は」
冬司が鼻白む。だったらどうすればいいのか、などとは口が裂けても聞けないで、その分唇を強く引き結ぶ。そんな冬司を横目に、ジャックは笑みをやんわりとしたものにして、視線を落とした。
「彼女の事は、想ってやったらええやないですか。いっつもそばにおる、自分らだからできる方法で」
守ってやるのだ、と。
ジャックが顔を上げる。
微笑んだまま冬司と視線を合わせて、彼はゆっくりと頷いた。
「彼女をわかってやることなど、俺には無理だ」
彼女は行動に統一性がなさすぎる。
彼女は発言が気まますぎる。
彼女は思考に感情が干渉しなさすぎる。
けれど彼女は自由とは違う。けっして。
ならばなぜ、あれだけ奔放に振る舞えるのだろう?
「明日は快晴ですか」
テーブルに尻を載せていたジャックが、窓の外へ向けていた視線を冬司に戻した。予想していなかったものでも見るような表情で、冬司を見ている。
「いや、知らないが」
そんなジャックを見ることこそ意外で、冬司は思わず答えたあと、窓の外へと視線を向ける。外は相変わらずの雪模様だ。夜には吹雪に変わるかもしれない。
目を細めた冬司の耳に、はじけるような笑い声が飛び込んだ。驚いて振り返る。
「冗談やろ?」
手をひらひらとさせながら、ジャック。
「アンタがそんな自信なさげなこというから」
「理解できない、と言っただけだ」
笑いを収めない男に少々憮然とした表情になって言うと、そうでしたね、などとまた手を振りながらジャック。
「人なんて、理解してやることなんてできないんとちゃいますか? 冬司はんの言うような、理解は」
冬司が鼻白む。だったらどうすればいいのか、などとは口が裂けても聞けないで、その分唇を強く引き結ぶ。そんな冬司を横目に、ジャックは笑みをやんわりとしたものにして、視線を落とした。
「彼女の事は、想ってやったらええやないですか。いっつもそばにおる、自分らだからできる方法で」
守ってやるのだ、と。
ジャックが顔を上げる。
微笑んだまま冬司と視線を合わせて、彼はゆっくりと頷いた。
by plasebo55
| 2005-02-13 22:10
| オリジナル小説