今日もどこかで空想中。小説と戯れ言の居場所。


by plasebo55
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

TRPGやってきたよね/クトゥルフ神話TRPG

 クトゥルフ神話TRPG やってきました!
 シナリオは『黒猫と白ワイン』です。

 初めてのクトゥルフ! 文字打つときに間違えちゃうレベルですが、非常に楽しかったです!

 この先は、後日談。
 ネタバレが、あるような、ないような。
 どちらかと、知らない人が読んでもおもしろくないような、というわけで、

 隠してありますが、ページ設定によっては隠れていないかもしれない気もします。




 気の利いた感想とか小話でもできればいいのですが、
 たぶんずっとおもしろかったって繰り返すくらいしか芸がないので、チャンスが在れば是非やってみてくださいー と。

 TRPGですから、いいKPさんと巡り会うとか、いいPLさんと巡り会うとか、運とか自分のテンションとかも影響しますけれどもも。



 プレイキャラクターは西元寺 風有、と若干のきらきらネームでゴー
 自転車乗りの放浪者でした。
 結果は、生還、でした。運が良かった! 仲間のおかげ!



 
 TRPGのシナリオは先が知れてしまうと楽しくないですから、
 これから遊ぼうと思った方は、お気をつけて! では!







 

 ***
 
   あなたをまもるうた


 

 上機嫌で鼻歌を歌っていた青年は、肩を擽る感触に自転車の速度をゆるめた。

「かおりちゃん、あんまり出てきたら危ないよ」
「ニャア」

 背負ったリュックサックから顔を出していた黒猫が、青年の肩に伏せをするようにしがみつく。
 しょうがないなあと頭を掻いて、青年はスピードを上げた。

 青年が黒猫と自転車旅をするようになったのはここ数ヶ月のことだ。それまでの気ままな一人旅とは違い、宿泊先や食べ物や自転車の速度や天気まで、気を遣うことは多くなった。想像外も多くてうまくいかないこともあるが、青年はこの生活を結構気に入っている。

「本当はもうちょっとゆっくり行きたいんだけど……もうすぐ年明けちゃうだろ。にいさんところの餅つき間に合わないと、お年玉もらいそこねちゃうしさ。今年はまじめにお年玉もらわないと俺の財布が大ピンチなんだ。物理的に。

 ていうかにいさんのおみやげ買ってて財布壊れたんだから、もらって良いと思うんだよな。だって、いつまでも変な柄のTシャツとか、彼女が困るじゃん?」

 大きなお世話だと言われそうだが、さすがにここからでは当の古物研究家には聞こえまい。
 俺の愛情通じるかなあなどとぼやいていれば、黒猫の、伏せたままの耳がぴしぴしと動いた。

「でも、どうにか先生回収する時間とれそうでよかったよ。先生ってば無理矢理でも連れ出さないとすぐ患者さんに捕まっちゃうしさ。

 病院の先生って正月休みも呼び出しされてんだよ。ていうか、先生の場合はさ、押しに弱いって言うかさ。師長さんが強いって言うかさ。腕が良いのも考え物だよな。患者さん大事にするっていいことだけど。こっちが先約じゃん? 他にも先生いるんだし、休みはちゃんと取った方がいいと思うんだよ俺は」

 言いながら、青年の唇はとがっていく。
 去年の正月休みもあまりに携帯電話が鳴るものだから、取り上げて茂みに遠投してやった青年だった。
 大慌てする医師と、現代品は発掘しないぞとお叱りモードに入る古物研究家と。
 種明かしすれば、それは丁度持っていたキットカットを投げただけだったのだが、まあまあの騒動になったものだ。

「もし今年もだったら、かおりちゃん、頼んだ」
「ニャア」

 伏せていた黒猫がぴしりと鳴く。

 しばらく自転車をこぐ音だけが続き、青年は笑みをこぼした。

「……ふふ」

 頂上目指して懸命にペダルを踏む。
 それはいつもとかわらないのに。

「くすぐったいよ」

 時折頬を擽る、黒猫の耳も。
 リュックサック越しに感じる背中のぬくもりも。
 感じればこらえようのない笑みとなって腹の底からわき上がってくる。

 軽く、息を吸い込む。と、

「あたっ」

 ごち、と黒猫の頭がぶち当たってきた。

「……わかってるってば」

 苦笑、ひとつ。

 何を口にしようとしたのか、黒猫にはわかったのだろう、と青年は思う。丁度コンクリートの継ぎ目で自転車が揺れたから、頭が当たったのは偶然かもしれないけれど、そう思う。

 それは、歌だ。

 夢の中で見た本。
 何語かわからない文字列。
 けれどそれは、目にした瞬間から確かな意味を、青年に伝えてきた。

 それは、守りたいものを守るための歌。
 歌詞に目を通すだけで浮かび上がる旋律は、美しく、穏やかで、優しかった。

「歌えないの、もったいないよな」

 記憶の中のメロディを追いながら、青年は唸る。

 文字は歌になったとたん、代償を要求してくる。気安く繰り返せば、正気を失うだろう。
 当然という気もする。スーパーマンじゃないのだから、着るだけの変身スーツなどあり得ない。

「hu- hu- huhu- n」

 歌わない、そのときまでは。いや、危ない目になど遭わせないけれど。
 ならば、他の歌でも良いはずなのに、ついついこの歌を選んでしまうのは、黒猫と出会った日に、見た夢で知った歌だからだろうか。

「huhuhu- hu- hu- huhu- n-」

 上り坂が終わりを見せる。
 道の先に青い空が広がっている。

「hu- hu- huhu- n」
「hu- hu- huhu- n」

「hu-hu-hu- hu n n- hu-」
「hu-hu-hu- hu n n- hu-」

「かおりちゃん、下るよ」
「ニャア」

 自転車のラチェットの音が響く。
 その音に合わせて、鼻歌は続く。
 
 
 
[PR]
by plasebo55 | 2014-12-30 02:43 | リプレイ!