今日もどこかで空想中。小説と戯れ言の居場所。


by plasebo55
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中の戯れ言


一月一日を冬のこの日に決めたのは誰だろう。
十二月三十一日をこの日に決めたのは誰だろう。

その境目に印などないのに、その境目を越せない人間がたくさんいる。
夜が明ければ命が息を吹き返すように、年があければ今までと同じように時が流れたのだろうか。

年が暮れゆくととともに時の流れは緩やかになり、その境目を迎える時にもっとも遅く、遅く。
ふと、立ち止まってしまうほどに、遅く。

しんと静まり返った静寂の中、息を潜めて時を待つ。
時を越えようと、息を潜めてその境目を見据えて。
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# by plasebo55 | 2012-01-06 22:48 | 戯れ言

中の戯れ言



こうやって、現実と繋がっていくしかない。


繋がっていくしかないのだと、教えてくれた。
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# by plasebo55 | 2012-01-05 23:06 | 戯れ言

中の戯れ言

「いつもの散歩じゃ。そのうち戻るじゃろ」

 梅治が長く屋敷を開けるときは、用向きを伝えておくのが常だ。そうでないなら「散歩」だろう。あまり屋敷にはいない男だ。梅治が長い散歩の途中で何をしていようが、沓杷は興味がない。同じく、客人がどんな用向きで訪ねてきたのかも、興味がない。

 濡れ縁で沓杷が、腕を伸ばして大あくびすると、丸眼鏡の客人が困ったように笑った。

「すぐ戻るのであれば待たせて頂いてもよろしいですか」

 短いやりとりの間で、沓杷が問わなければ答えない、気の利かない人物であることを知ったのだろう。ああ、と尻上がりの返事にもじろりとねめつけるような仕草にも動じる様子が無い。

 ぴょうと濡れ縁を飛び降りて、沓杷は客人の目の前に立つ。さすがに、僅かに身じろぎした客人の頭の先からつま先までをじろじろと眺めやる。

「ふむ。いいじゃろ」

 腕組みをしたまま、相好を崩した。

「おぬし美味そうじゃしな。上がれ上がれ」

 は、と意味を取り損ねた客人にかまわず、沓杷は跳ねるような足取りで屋敷に戻り、ちらりと振り返ると手招きした。
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# by plasebo55 | 2012-01-04 23:16 | 戯れ言

中の戯れ言

 魔、すなわち物の怪の事である。

 そもそも物の怪の「もの」とは霊のことだ。善も悪もない。それが悪意を持つようになると、百の害ありと言われる物の怪となる。取り憑き、呪い、喰らい、疫病をはやらせるなど、物の怪の害を考えれば、魔と称されるのも当然の流れであったろう。

「儂はちいとも悪さなぞしとらんのに」

 人が説明のつかない事象をなんでも物の怪の性にし、結果自分が魔だの悪だの呼ばれるのは心外である。沓杷は不満げに唇を尖らせたが、長続きはしなかった。

「おう、客人、どうした」

 庭に敷き詰められた小石を踏みながら現れた人物に顔だけ向けて訪ねる。

「梅治さんは御留守のようですね」

 枯色の着物に丸眼鏡の男が、時折小石に足を取られながら歩いてくる。沓杷が散々待たせたのでしびれを切らしたのかもしれないが、沓杷といえば対して悪びれた様子もなく「そのようじゃな」と答えた。
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# by plasebo55 | 2012-01-04 00:03 | 戯れ言

中の戯れ言

「梅治ー」

 おーい、と口元に手を添えて家主を呼ぶも、返事がない。家中の、障子という障子を開け、納戸を覗き、あまつさえ厠の戸を散々叩いたが見つからない。

「客が来ておると言うに、どこに行きおった」

 濡れ縁で立ち止まり、腕を組む。庭に敷き詰められた白石が陽の目を反射してひどく眩しい。庭に白石を敷き詰めるのは、部屋の奥まで明かりを届けるためでもあるが、もう一つ。

「不浄を清めるなどと」

 白い庭に目をすがめる。

 白という色には魔を払う力があるという。鬼門にある庭には特に、白い小石を敷き詰めて、屋敷に魔が入り込まないようにするのだそうだ。

「ま、梅治らしいといえば、らしいがな」

 ふん、と鼻で笑う。魔である自分がこうして屋敷を出入りしているのだから、白石の効果もたかが知れている。
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# by plasebo55 | 2012-01-02 23:15 | 戯れ言